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■ イントロダクション ■
格闘技に興味のある方なら、「世界の格闘技」を紹介する文献や、 格闘技を題材とした劇画・漫画、 あるいはプロレスの技(ローリング・ソバット)などで、一度はサバットの名を聞いたことがあると思います。
しかし、残念なことに、今までこれらがサバットを正しく紹介してきたとはいえません。
現在、一般的に「サバット」と呼ばれているものは、正式にはボックス・フランセーズ(フランス式ボクシング)といって、 古式サバットの一部に過ぎません。
元来サバットとは、離れた間合いでは武器(杖)を使い(=杖術:ラ・カン)、中間距離では手足による打撃を用い(=ボックス・フランセーズ)、相手と接触した場合は投げ技を使う(=パリジャン・レスリング)という総合格闘技でした。
元々路上の喧嘩から生まれたため、 あらゆる状況に応じて最も効果的な技術が発達していったのです。
■ ボックス・フランセーズ ■
ボックス・フランセーズとは、安全性を考慮しながら、格闘スポーツとして広く普及させることを目的として、色々な変化を重ねて形成されてきたものです。
近年においても、ルールや技術のマイナーチェインジが行われることがあるようですが、大元は、ほぼ完成されたとといってよさそうです。
他の打撃系格闘技との相違点としては、肘・膝による打撃が禁止されていること、背面への足による打撃が許されていること (但し、背骨への加撃は禁止、またボクシング同様、手による背面への加撃は禁止)、
膝正面など関節部への打撃が許されていること、などが挙げられますが、その最大の特徴は、やはり着靴が定められていることでしょう。
これは、靴による打撃の強化というメリットのほかに、 フットワークにおける有利さや、つま先・踵など靴の一部が相手に届けば、かなりのダメージが与えられるため、遠い(つまり安全な)間合いを 保つことができるという利点をもたらしています。
現在のリングファイトにおいては、競技者の外見(コスチューム、靴)を除き、キックボクシングとの相違点を見出すことは困難かもしれません。
基本的には手足の連続攻撃からなっているものの、最近の試合では手技が6割ほどを担っており、KOの多くも手によるものです。
サバット特有の蹴り技も、実際の試合では倒すためというより、むしろ有利にパンチの間合いに持ち込むための間合いを創り出す目的で使用されることが多いようです。
キックボクシングやフルコンタクトに似たファイトスタイルへの移行は、サバットのオリジナリティ喪失につながる危険性を孕んではいますが、一方で選手の活動の場を広げる機会を提供する結果にもなっています。
日本の空手や柔道と同様、サバットはアマチュアのみで、プロはないため、ブランコ・シカティック、イワン・ヒポリット、アーネスト・ホーストなど、サバット選手は、WKA、ISKA、K-1などのリングに活躍の場を求めているのです。
現在の競技サバットには、「コンバ」、「アソー」という二種類の形式が存在します。
「コンバ」とは、KOを狙うフルコンタクト形式の試合です。 一方の「アソー」とは、安全性を重視したいわゆるライト・コンタクトの試合形式で、
相手に大きなダメージを与えないように的確な攻撃を加え、 ポイントによる判定で勝敗を競う、技術・スピード重視の形態です。両形式とも、二年毎の世界大会を頂点として、ヨーロッパを中心とする世界各国で、
全国大会、地方大会、学生大会、警察大会など各種の大会が行われています。
これらのほかにも、「デュオ」と呼ばれる、 ペアによる「演武」の大会がありますが、あまり普及はしていないようです。
2004年 コンバ ヨーロッパ大会 | 2006年 コンバ 女子大会 | 2006年 アソー 世界大会 |
■ 階級 ■
ボックス・フランセーズは、年齢及び体重によって以下のように階級が分かれています。
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■ 段位 ■
ボックス・フランセーズには、技術レベルによって以下の8つの段位があります。カラー・グローブと呼ばれていますが、実際にその色のグラブをはめるわけではなく、ワッペンによって表されます。
第1レベル | GANT BLEU (ブルー・グローブ) | |
第2レベル | GANT VERT (グリーン・グローブ) | |
第3レベル | GANT ROUGE (レッド・グローブ) | |
第4レベル | GANT BLANC (ホワイト・グローブ) | |
第5レベル | GANT JAUNE (イエロー・グローブ) | |
第6レベル | GANT D’ARGENT TECHNIQUE 1er (シルバー・グローブ第1) | |
第7レベル | GANT D’ARGENT TECHNIQUE 2eme (シルバー・グローブ第2) | |
第8レベル | GANT D’ARGENT TECHNIQUE 3eme (シルバー・グローブ第3) |
■ サバット・ディファンス / サバット・フォルム ■
近年は、上記のラ・カン、ボックス・フランセーズのほかに、サバット・ディファンス、サバット・フォルムという新たな形式のサバットが行われるようになっています。
サバット・ディファンスは、古式サバットをアレンジした、護身術としてのサバットで、路上の戦いを想定した総合格闘術です。掌や肘、膝を用いる他、投げや関節技もあり、
様々な状況を想定した実戦的な技術ですが、危険な状況を回避するための心構えや脱出方法の見つけ方なども学び、総合的に身を守る術を習得することを目的としています。
サバット・フォルムは、フィットネスを目的とした、所謂「ボクササイズ・サバット」です。対人練習などは行わず、音楽に合わせてサバットのパンチ・キックのフォームを繰り返し、
心肺機能の向上、ダイエットなどを目指します。
こちらは、女性を中心に人気が出始めているようですが、サバット(ボックス・フランセーズ)は、 元々フィットネス効果が高く、護身にも適しているため、女性に人気が高く、フランスのサバット競技人口40%近くが女性だとも言われています。